東海道線で西に向かっているとき、平塚駅で目が覚めた。ふとながめた車窓には平塚の変化があった。長年空き地だったJT跡地に何やら立体駐車場のようなものができつつあった。聞いたところによると大型商業施設らしい。昔は商都として栄えていた平塚が、東京の一衛星都市と成り果てていく、悲しい変化だと思った。そして列車は大磯に止まる。平塚とは打って変わって大磯は地方の町のような雰囲気が残っていた、国府辺りまで来ると大きな農地がある。そのまま二宮・国府津と丘陵の端を線路は通っていく。そして、小田原平野に入る。そこには青々とした美しい箱根の山々が重なるようにしてそびえていた。そして列車右側を見てみると彫刻家が削ったような白い富士山がそびえ立っていた。そして小田原駅を出て早川を渡る。早川は先に見た箱根の雄大な山々から水と温泉を集め相模湾に注いでいる。早川駅を出るとその相模湾が左側に広がっている。運良く小田原駅から高校生男女が乗ってきてくれたおかげで、車窓の窓枠に日常が加わってくれて良かったなぁと思う。このあたりは鉄橋やトンネルが大量にある。鉄橋を渡ると相模湾が静かにそこに鎮座している。そして、海の恵みを利用している住民の生活のかおりが浮いているブイと網から漂ってくる。トンネルは車窓を中断してしまうが、トンネルが開けたときの景色が絶景であるためある種の演出として機能している。どんどん線路は高さを上げ、湯河原駅手前では街全体が見渡せる。思っていたより遥かに大きく街らしい町。調べてみると22,000人いるらしい。神奈川の西端だと思って街の規模を過小評価していたことに気づいた。そして熱海手前では別荘らしき屋上にプールのついた建物があった。湯河原の静かな温泉街のイメージとは違った熱海のにぎやかな温泉別荘地というイメージが感じられた。列車は熱海駅について乗換を強いられた。